物語
中世フランスの美しい農村で愛し合う二人、ジャンとジャンヌが結ばれた。この頃、快楽と苦痛は神の、またその化身の領主からの授けものと考えられたから、喜びには報酬を、神、すなわち領主に捧げるのがならわしだった。
二人もそれに従ったが、領主は法外な要求を持ち出し、できなければジャンヌの初夜を捧げるようにと言った。ジャンの必死の願いもむなしく、ジャンヌは領主と家来のなぐさみものになった。
妻を凌辱の手から救えなかった悔恨と嫉妬、愛する夫に捧げる前に汚されてしまったことの夫への申し訳なさは、お互いの心の底深く沈澱していった。
村では飢饉と領主の重税に人々はあえいだ。だが二人の家はジャンヌの紡ぐ糸のおかげで苦しまずにすんだ。そんな中でジャンヌに悪魔がとりついているという噂がたった。
戦争が始まり、税役人を命じられたジャンは貧困の村から戦費を集めなければならなかった。しかしうまくいかず領主の怒りをかって左の手首を切り落とされた。残酷な仕打ちさえ神の恵みだろうか。ジャンヌの魂には神への反逆の炎が燃えあがっていった。そんなジャンヌの神に対する反逆は領主を怒らせ、彼女は魔女の烙印を押された。
野に逃れたジャンヌは、絶望の淵から立ち上がっていく。その頃ヨーロッパには黒死病が広がった。べラドンナの花からその薬を作ることを知ったジャンヌを、領主はジャンをそそのかして呼ぶ。が、彼女の心は領主の権力には動かされなかった。怒った領主はジャンヌに火あぶりの刑を宣告した・・・。
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